Vol.3 CRAFTING EXCELLENCE

2025.08.21

Vol.3 CRAFTING EXCELLENCE

ものづくりにおいて、ゆずれないこだわり。
その一つ一つには確固たる自信と理由があります。
このblogでは、生産過程の裏側をレポート。BORDERS at BALCONYでしか成し得ないクオリティの理由をお伝えしていきます。

Vol.3

CRAFTING EXCELLENCE

「BORDERS at BALCONYの特徴とは何か?」

そう聞かれた時に真っ先に思い浮かぶことの一つにはきっと、
「着る方の体のラインを美しく演出するパターンと縫製技術」があるのではないでしょうか。

BORDERS at BALCONYの洋服の中でも、特に大ヒットしたバレリーナシリーズや、長年愛用いただけるブラックフォーマル、他にもブラウスやジャケット等、高い縫製技術を必要とする布帛アイテムの製作を担ってくださっているのが、有限会社ノースリバーです。

創業42年を迎える縫製加工業者、有限会社ノースリバー。
その歴史と技術は、Dior、Oscar de la Renta、Saint Laurent、Balenciagaといったブランドのアイテムを支えてきた実績が物語っています。

今回は、ものづくりへの想いや信念を代表取締役 北川利彦さんに伺いました。

デザイナー柴田との出会いが生んだ信頼関係

ノースリバーとBORDERS at BALCONYとの関係が始まったのは、ブランド創立から3年目のこと。
初めて対面した際、デザイナー柴田の
「今までにないものを作りたい」
「ヒットするアイテムを生み出したい」
という熱意に心を動かされ縫製を引き受けることにした、と北川社長は語られます。

しかし、当時アパレル業界初心者だった柴田が出す要望には、時に実現が難しいものもあったそう。
それでも北川社長は、柴田の希望を尊重しながら、最終的には「お客様にとって最良の選択」であるかを重視。
「まずは希望通りにサンプルを作り、それがなぜ難しいのかを丁寧に説明する」というプロセスを幾度も重ね、信頼関係を築いていきました。

たとえば、袖口の飾りボタンの下に本当にボタンホールを作るべきかといった議論では、縫製のプロとしての視点から「開けない方がシルエットが美しい」というアドバイスを行うこともあったそうです。

こうしたパートナーシップの積み重ねが、BORDERS at BALCONYの洋服を常に進化させてきたのです。

守り続ける、ものづくりの哲学

布帛を扱う際に最も難しいのは、裁断や縫製においてわずかなズレも許されないこと。
伸縮性のあるカットソーとは異なり、工程ごとに細心の注意を払い、一切の手抜きをせず進める必要があります。

特に意識しているのは、洋服の「ハンガー面」と「ボディ面」が美しく見える仕上がり。
洋服は”人が袖を通して完成するもの”ではありますが、着用していない時にも作品としての美しさを兼ね備え、着用した時のイメージが思い浮かぶものでなくてはなりません。

全てを縫い上げてから、出来てしまったシワに対してアイロンを強くかけることにより形を整えてカバーする業者が多い中、ノースリバーでは「ジャケットであれば袖を付ける前のベスト状態からボディに掛けて作業を進める」という独自の手法を採用しています。
これにより、仕上げのアイロン作業を最小限に抑え生地の品質を守り、そして、丸みを帯びた立体的な“生きた服”が完成するのです。

「それが高価なお洋服の特徴でもあり、いいものを着こなせる人はそれをわかっています。
だからこそBORDERSのお洋服もリピーターが多いのでしょう。」

そう北川社長は語られました。

北川社長の言葉には、確固たる自信と誇りが感じられました。

自ら手作業でアイロンがけを施す北川社長

高い技術を守り続けるという使命

「安売りはしない。」
北川社長はこの言葉を何度も口にされました。
それは、自社の技術への揺るぎない信念があってこそ。

細部にまでこだわり抜いた洋服を提供することが、自分たちの使命であり、お客様の満足を生むと語ります。

BORDERS at BALCONYのお洋服が支持される理由は、単に外見の美しさだけではありません。
ものづくりを支える丁寧さ、そして着心地を追求する姿勢があるからこそ、多くのお客様に長く愛していただけるのだと感じています。


ノースリバーの皆さまとお話しする中で、私たちは改めて「良いものを作る」ということの本質を考えさせられました。
単に美しい服を作るのではなく、細部まで妥協せず、お客様にとって本当に価値のある一着を届ける。
その想いを共有し、形にしてくださる縫製のプロフェッショナルがいることは、私たちにとって何よりの誇りです。

流行が移り変わる中でも、私たちが目指すのは、時代を超えて愛される服。

職人の技とブランドの哲学が交わることで生まれる「本物」を、これからも追求し続けます。